品質管理に徹底的にこだわった
『FARHADIAN』社のギャッベ

イランの遊牧民の作る手織りの絨毯『GABBEH(ギャッベ)』。
ギャッベとはイラン語で『荒い』という意味で、もともとは5cmほどの厚みがあり、
移牧の際のベッドとして使われていました。
ウール100%・手紬糸・草木染の優しい色合いが特徴で、
織り子さんのインスピレーションで織られたデザインは、同じものはひとつとなく
イランの自然をモチーフにした独特のデザインが魅力です。

mixの扱うギャッベは、『FARHADIAN(ファーハディアン)』社。 もともとペルシャ絨毯を扱っていたファーハディアン社のギャッベは、品質管理が徹底的に行われています。
織り子さんの織ったギャッベは工場に集約され、「洗い」を何度も行います。これを行うことで、砂やほこり、匂いがとれ、遊び毛も落ち、光沢をもたらすのです。その後、表面の毛を均等に刈って滑らかにし、またギャッベのたるみや曲がりを修復するなど、最後まで「品質」にこだわっています。

FARHADIAN
ギャッベの品質へのこだわり

絨毯のクオリティを決める3つの要素、「糸・染め・織り」

絨毯では「糸」の良し悪しが、品質の大きな決め手となります。糸は細く、しなやかなほど上質な絨毯になります。
イラン南西部に位置するザクロン山脈で放牧されている羊の毛は、日中と夜との寒暖差が40度程と大きく、特に脂質の多いのが特徴です。
また、直毛なので、糸として紡いだ時に縮みにくく、しっかりと揃った毛が出来上がります。
それにより、独特のしっとりとした質感を得られます、
また、放熱・保温を行いやすい毛質でもあるので、絨毯の素材として優れており、その丈夫さが特徴として挙げられます。

FARHADIAN(ファーハディアン)では、その中でも最上級の品質の羊毛のみを使用しています。
その上質な羊の毛を春に刈り取り、手紡ぎした糸を使います。

紡がれた羊毛は、標高1,500メートルを超える高地に運ばれ草木で染められていきます。

染色は茜(あかね)、柘榴(ざくろ)、くるみなど天然染料を用いた草木染です。染色では染料を単体で用いることはほとんど無く、ギャッベ5大色と呼ばれる「赤・黄・茶・青・緑」をミックスして、ファーハディアンならではの染色を誇っています。

「染め」の最大の特徴は、手紡ぎした羊毛の糸を油抜きせずに使うこと。驚くほど大量の染料を使い、その煮えたぎっている釜に直接糸を投げ込みます。
油抜きしていない糸は染めが容易ではありませんから、長時間煮て染め上げるのです。釜から引き上げられた糸は水洗いし、天日干しに。
標高1,500mを超える高地の強い太陽を浴びて、力強い糸が生まれるのです。

GABBEH DESIGN

Color(色)について

ギャッベの色は、生命の循環を色に現してます。

  • 赤や黄…太陽の色
  • 黄…豊穣の景色
  • 茶…大地の色
  • 青…オアシス・水・空の色
  • 緑…春や夏に生い茂る草原の恵み

Motif(文様)について

ギャッベの文様は、生活の中で生まれた形であり、様々な「願い」が込められています。

木・生命の樹

乾いた大地で葉を茂らす樹木は、生命の象徴とされています。木の下は聖地や楽園を意味し、動物たちは清められ、また祝福されることを意味してます。
また、天空に向かって大きく茂る木の先の青い空は神様の座、幹の根元の方が今暮らしている世界ととらえられ、より長い木は長寿、
沢山広がる枝は、より幸せになりたい気持ち、子孫繁栄を表しています。

ヤギ・羊の文様

遊牧生活では家畜は財産で、大切な現金収入源です。お金に不自由しない生活が続くような豊かな生活ができるようにとの願いや生活の糧を与えてくれるヤギや羊への感謝の思いを表しています。

人の形の文様

子孫繁栄、豊饒を意味しています。人間に留まらず、春の羊の出産もたくさんであってほしいとの願いを込められていいます。
また、女性たちの日記的にギャッベに模様を織り込むので、自分の子供の数だけこの模様を入れることもあるそうです。

四角の文様

水が沸き上がる井戸や水場を意味してます。遊牧生活で最も大変なのは、水の確保です。井戸は彼らの命綱ともいえるものであり、それだけにこの井戸の文様はギャッベの特徴的な文様となっています。また、光が差し込み、風を取り入れる幸せの入口でもある窓を、四角の文様へ表現している織り子さんもいます。

 
 

ひし形の文様

「トランジ」と呼ばれる菱形の文様は、古いオリジナルのギャッベには頻繁に見かける文様で、通常3~4個連なって織り込まれてます。
カシュガイ遊牧民にとっては非常に重要な文様で、様々な「トランジ」のデザインや配置があるが、「トランジ」を見ればカシュガイ族の中でもどの部族に属しているかわかり、自分が何者であるかを示すアイデンティティの紋様であり、カシュガイ族の誇りを表しています。

Sが横になった文様

これは「ケルマック」と呼ばれる文様で、小さい虫を意味しギャッベにその文様を置くことで邪悪なものが入り込まないように魔除けとする文様です。

ジグザクの文様

水の流れを表すジグザグ模様もまた、ギャッベにはよく使われる紋様です。オールドギャッベにはジグザグだけの文様が大胆に施されているものもあります。
また、ボーダーにジグザグを使うことも多いです。縦のジグザグは川の流れを、横のジグザグは湖や沼を表しています。

X形の文様

時には細かく、時にはシンボル的に大きく、このX形の模様は織り込まれています。終わることなく未来永劫続くという思いを表していて、家族の幸せ、健康が永遠に続いてほしいという願いのこもった紋様だといえます。

ライオンの文様

ライオンは、王様の象徴。深い知恵と豊かな財力、そして強靭な肉体と大きな権力を持った存在です。多くのギャッベの織り手がライオンを見たこともないが、憧れの気持ちは強くあります。ライオン以外の四つ足の動物の文様には、胴の部分にドット模様の入ったヒョウなどもよく見かけます。憧れや魔よけの意味があります。

V形の文様

弓の矢の先につけられている矢尻を表してます。刈りの好きなカシュガイ族の男たちが、力強く弾いた弓から放たれる矢は、無限の力をもって飛んでいきます。
そんな力強いもののシンボルでもあろうし、矢の跳ぶ先にある期待や憧れの気持ちを表すシンボルでもあります。

 
 

鹿の文様

子どもを大切に守って育てる鹿は子どもの健やかな成長と家庭円満の祈りが込められています。

 
 

鳥の文様

空を自由に飛び回る鳥は憧れであり、幸福への願いが込められています。鳥の文様は、生命の樹と組み合わせることも多く、神様からの使者と言われています。
また、鳥の中でもクジャクは優美な姿から、美しさの象徴として好んで用いられてますし、イランでは初期の王の象徴でもあります。

オオカミの足跡の文様

花模様と似ていますが、花弁のように見えるのは、実はオオカミの肉球。オオカミは遊牧民にとっては羊やヤギなどの家畜を襲う恐ろしい存在です。
そんな悪役を織り込むことで、害をなす悪い生き物が入り込んでこないように防御するという、魔除けのような意味があります。

草花の文様

ギャッベの中では、抽象化された小さな模様がたくさん散りばめることが多いです。まさに春の到来とともに咲き乱れるブッシュフラワーそのもの。草木が芽吹き、花が咲く春は最も待ちわびる季節。カシュガイ女性が一番好きな光景を、絨毯にモチーフとして写しとり、春の喜びを表してます。

ギャッベの製造工程 ギャッベの製造工程

FARHADIAN・ギャッベの
クオリティーランク

ギャッベは、織りの細かさでランクが分けられます。
※knots(ノット)数=結び目数は手織りのため1枚ずつ違います。おおよその目安を示してます。

ハイクオリティー

LORI ATASH(ロリ・アタッシュ)

● 40~45knots(ノット)/10㎝
ファーハディアン・ギャッベの最上級クラスです。織り手の中でも技術の優れたロリ族によって主に織られています。
最高級の羊毛の細い糸を高密度に織ることによって生まれる繊細なグラデーションと、しっかりとした手触り、美しい光沢感と深い色合いが魅力的です。
シンプルなデザインが、スタイリッシュでモダンで、家の格を上げる逸品です。

LORI(ロリ)→ロリ族が織っている ATASH(アタッシュ)→Fire(火)

LORI NOWBAFT(ロリ・ナウバフト)

● 37~40knots (ノット) /10㎝
織り手の技術が優れたロリ族が織っているという称号を与えられた品質です。
ナウバフトは、遊牧の原風景を繊細な織りで見事に表現しております。

LORI(ロリ)→ロリ族が織っている BAFT(バフト)→Knt(結び)

LORI TABIEBAFT(ロリ・タビーバフト)

● 35~40knots (ノット) /10㎝
織り手の技術が優れたロリ族が織っているという称号を与えられた品質です。
タビーバフトは、無染色の羊の原毛を主に使用し、遊牧民に伝わるモチーフを中心にギャッベの魅力を上質に表現したクオリティです。

LORI(ロリ)→ロリ族が織っている BAFT(バフト)→Knt(結び)

RIZBAFT TAJIK(リズバフト・タジック) 

● 30~38knots (ノット) /10㎝
RIZBAFT(リズバフト)とは、ペルシャ語で「美しい結び」という意味の言葉です。
最高級の羊毛だけを使用した艶やかで繊細な質感。細かい織りでこそ可能な、繊細なモチーフや、独特のパッチワーク風のデザイン(メモリーオブライフ)など、
ファーハディアン・ギャッベの魅力を堪能できるプレミアムクオリティです。

RIZBAFT(リズバフト)→Fine(美しい) BAFT(バフト)→Knt(結び)

ミドルクオリティー

KASHKOULI BANAFSHEH(カシュクリ・バナフシェ)

● 28~32knots (ノット) /10㎝
遊牧民カシュガイ族の中のカシュクリ族からきた呼称です。ざっくりとした肌触りの中にも上質感を感じるクオリティ。
手紡ぎの糸を草木染したことで生まれる、色の濃淡の美しさを使ったグラデーション。
その中に遊牧民の生活のさまざまなモチーフがあしらわれたデザインは、まさにギャッベの魅力そのものです。

KASHKULIの中でも、FARHADIAN家の長女BANAFSHEHの名前を冠した「カシュクリ・バナフシェ」は、上質感のあるイチオシの品質です。

KASHKOULI SHULI(カシュクリ・シュリ)

● 25~30knots (ノット) /10㎝
遊牧民カシュガイ族の中のカシュクリ族からきた呼称です。ざっくりとした肌触りの中にも上質感を感じるクオリティ。
手紡ぎの糸を草木染したことで生まれる、色の濃淡の美しさを使ったグラデーション。
その中に遊牧民の生活のさまざまなモチーフがあしらわれたデザインは、まさにギャッベの魅力そのものです。

ざっくりとした中にも上質感を感じられるクオリティー。
カシュクリ族がシュリ村で織っている絨毯という意味

SHULI(シュリ)→ SHULI(シュリ)村

ノーマルクオリティー

NOMAD(ノマド)

● 20~25knots (ノット) /10㎝
ノマドとは、遊牧民という意味です。ギャッベ本来のざっくりした感触とボリューム感、ナチュラルなイメージが魅力です。おおらかに描かれた遊牧民特有のかわいらしいデザインをお楽しみいただけます。ログハウスやコテージなど、ウッディな空間のコーディネートや、ファーストギャッベにお薦めです。

GABBEHギャラリー

普段のお手入れ

普段は掃除機をかけるだけで十分です。
飲み物をこぼしたときは、すぐに固く絞った雑巾でやさしくたたくように吸い取ってください。脂分の多い羊の毛を使っているため、液体をはじいてくれます。
使えば使うほど、踏めば踏むほど、光沢が生まれ、色合いもよくなっていくのが、品質のよい絨毯の本来の姿です。

ギャッベは羊毛100%。しかも全て手紡ぎの糸を使って織られています。「縮れ」部分の凹凸が、羊毛そのものにたくさんの空気を含み、絨毯に空気層ができます。
そのため、冬は床の冷たさを感じず、夏は通気性があるため蒸れることもなく、一年中、快適に過ごせます。

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